車検のお役立ちコラム
車検のヘッドライト検査基準が変更!新基準のポイントと注意点【2024年8月開始】
- 公開日:
- 2024.2.29
- 更新日:
車検で落ちやすい項目として代表的なのが「ヘッドライトの検査基準」です。
ヘッドライトの検査は光量と光軸、そして色の基準をどれも満たす必要があり、いずれかが不良の場合には再検査が必要となります。そのヘッドライトの検査基準が2024年8月から厳格化されました。
ここではどういう部分が厳格化されるのか、それによってどんな影響があるのかをご説明します。
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- 目次
車検におけるヘッドライト検査の基本
ヘッドライト(前照灯)は夜間の安全な走行に不可欠で、対向車への配慮も求められます。検査項目には「光軸」「光量」「色」があり、いずれも基準を満たす必要があります。
1.ヘッドライトの検査項目
ヘッドライト(前照灯)は夜間走行の際、車両前方の視界を確保するために存在しています。
それと同時に、対向車から見たとき眩しくないように調整されていなければなりません。では実際にはどんな検査がおこなわれているのでしょうか。
1-1.光軸
まず専用の検査機械で確認されるのが光軸です。これは対向車が眩しくないように光の配分が適正であるかどうかを確認する、という目的でおこなわれています。
具体的にはロービームを点灯したとき、上方向の光をカットする『カットライン』がはっきりと出ているかどうかが問題となります。
1-2.光量
光量は文字どおり、光が基準内の数値となっているかどうか、ということです。これも光軸と同じく専用の機器で計測されています。仮に基準値よりも暗い、という場合は車検にはとおりません。
1-3.色
ヘッドライトの色については『白色』であること、という基準となっています。一般的に白色というのは、ケルビン数でいうと3000〜7000kの範囲となるのですが、これについては検査当日、検査員が見て判断をします。
このケルビン数は数字が大きいと青色に、数字が小さいと黄色に見えますので、社外品のバルブに交換する場合は、おおよそ4500〜6500kの範囲としておくのが無難です。
2.2024年8月から導入されたヘッドライト検査の新基準
ヘッドライト検査の基準が厳格化されたというのは、どういうことなのでしょうか。
じつはヘッドライトの検査基準は、2015年に大きく変更されていて、2018年からはロービームで検査をする、ということになっていました。
ただ、その当時は旧基準で生産されていた車が多数走っていたこともあり、暫定措置としてハイビームでの計測でも基準に通過すれば問題なし、となっていたのです。
しかし2018年から5年以上が経過したことから、2024年8月からは本来の検査方法であるロービームで光軸と光量を計測する、ということが徹底されることとなりました。
この検査方法の対象となるのは、1998年9月1日以降に製作された自動車となっています。
ロービームによる検査が正式に義務付けられます。これにより暫定的なハイビーム検査は終了します。
2024年8月から導入されたヘッドライト検査の新基準では、ロービームによる検査が正式に義務付けられました。これにより暫定的なハイビーム検査は終了します。
2-1.ロービーム検査への完全移行の背景と概要
2018年からロービーム検査が開始されましたが、2024年8月からはすべての該当車両においてロービーム検査が必須となります。
2-2.対象となる車両の年式と影響範囲
1998年9月1日以降に製造された車両が対象です。特に2000年代初頭の車は注意が必要です。
3.車検の新基準で起きる可能性のある影響
新基準によって不合格となる車両が増える可能性があり、整備や部品交換の需要も高まります。今回のヘッドライト検査基準の厳格化によって、どんな影響があるのかを解説していきます。
3-1.ヤングタイマー車への影響
まず大きな影響を受けるのは、1998年9月以降から2000年代初頭にかけて製造されたヤングタイマー車です。
この時代の車は、以前のガラス製ヘッドライトレンズから樹脂製ヘッドライトレンズへと変わった世代です。このころの樹脂製ヘッドライトレンズは表面のコーティングがまだ完成されておらず、ほうっておくと黄ばんでしまいがち。そうすると光量が落ちてしまうため、そのままでは基準を満たすのが難しくなります。
そこでレンズ表面を磨いて再コーティングをする、という作業が必要となるのですが、古い車の場合にはヘッドライト灯体内部のメッキがくすんでしまっていることも多く、いくらレンズ表面を磨いてきれいにしても光量不足が解消できない、ということが実際に起きています。
そのため、とくに部品が欠品しがちな輸入車では、状態のいい中古ヘッドライトの価格高騰がすでに起きている、というのが現状です。
部品供給が比較的おこなわれやすい国産車でも、車種によっては中古ヘッドライトの価格が値上がりしています。また、ヘッドライトを分解(から割り)し、内部を再メッキしてくれる修繕業者も増えてきています。
そのため今後は、2000年代初頭に新車登録された車の車検費用が、ヘッドライトのパーツ代のぶん高くなることが考えられます。
ちなみに輸入車の場合、右側通行左ハンドル車用のヘッドライトは、社外品も含めて部品供給は比較的潤沢です。
ただ、この左ハンドル用ヘッドライトはカットラインが右側通行用となっているため、日本の左側通行用カットラインとは合致しません。きれいなヘッドライトがないからといって、左ハンドル用ヘッドライトを購入してしまうと無駄遣いとなる可能性が大きいのでご注意ください。
3-2.メンテナンスしたらかえって通らなくなることも?
ヘッドライトの表面がきれいな最近の車でも、ヘッドライトの検査が不合格となることがあります。
たとえばHIDヘッドライトの車で、光の元であるバーナーが点灯しなくなったために社外品のバーナーへと交換したという場合、光点の位置が微妙にずれてしまったためにカットラインのエルボー点(左側の歩行者を照らすための左上がりカットラインの開始点)がぼやけてしまった、ということも起こりえます。
実際筆者が所有している中古車で購入したトヨタ・ヴィッツも、前回の車検でエルボー点がはっきり出ておらず、再検査となりました。
これはロービームでの検査でもっとも引っかかりやすい部分です。
車検対応品と銘打たれているアイテムであっても、純正バーナーと光点位置がまったく同じであるかどうかは装着して検査をしてみなければわかりません。さらにHIDよりもさらに明るいLEDバルブへ交換している場合なども、光点位置の違いからカットライン不良で再検査となる例が多いようです。
3-3.整備・交換の選択肢と費用感
研磨・コーティング・交換などが必要なケースがあり、費用は数万円単位になることもあります。
4.まとめ
2024年8月から、ヘッドライトの検査基準が厳格化され、ロービームでの光軸、光量、色の検査が徹底されることになります。この変更により、特に1998年以降に製造されたヤングタイマー車は、樹脂製ヘッドライトの劣化が進行し、車検に通らない可能性が高まります。
ユーザーはヘッドライトの状態を確認し、必要な整備を行うことが求められます。特に社外品のバルブに交換する際には、光点位置のずれに注意が必要です。また、中古ヘッドライトの需要が高まり、価格が上昇しているため、早めの対策が推奨されます。
今後、車検基準の厳格化により、整備業者やディーラーからの苦情が増える可能性があり、その結果、基準の緩和が検討されるかもしれません。車検を控えている方は、事前にしっかりと対策を講じることが重要です。
- この記事の執筆者
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- 自動車専門ライター 高田 林太郎
- 自動車雑誌の編集者として出版社に勤務したのちフリーランスライターとして独立。国産・輸入車の紹介からカスタマイズ、自動車周辺企業への取材など、自動車業界の現場にてさまざまに活動中。
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