車検のお役立ちコラム

ダイハツの不正問題で車検はどうなる?いままでどおりに乗っていられる?

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2023年4月に発覚し、12月に第三者委員会の調査内容が発表されたダイハツの認証不正問題。
メーカーの発表によると30年以上にわたって組織的な不正がおこなわれていたということで、各方面に大きな衝撃を与えました。
その報告を受けて国土交通省は調査に乗り出し、とくに悪質な不正をおこなっていた3車種については型式指定の取り消し処分をおこなっています。
そこで心配なのが「いま乗っているダイハツ車は車検にとおるの?」ということです。
ここではダイハツ車の車検について、また購入者への補償はどうなっているのかまとめてみました。

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目次

1.そもそも今回どんな不正がおこなわれていたのか

疑問イメージ

内部告発によってあきらかとなり、第三者委員会の調査によって想像以上の不正行為が発覚したダイハツ不正認証問題。あまりに規模が大きく、自動車業界全体に大きな衝撃を与えました。
ではどんな不正がおこなわれていたのか、確認してみましょう。

1-1.きっかけは衝突試験での不正行為

最初に発覚したのは衝突試験における不正でした。衝突試験というのは実車と障害物をぶつけて安全性を確認する、という試験です。これは保安基準への適合性などについて国土交通省が審査をする『型式認証業務』です。
ここでダイハツは衝突した衝撃で開くはずのエアバッグを、タイマーを使って開かせたり、試験速度を改ざんするなどして、基準をクリアしているかのように見せかけていました。
その不正があきらかになってから第三者委員会が調査を始めたところ、次に挙げる試験内容での不正が判明しました。

1-2.不正の内容一覧

以下が型式認証業務における試験の不正です。

  • 側面衝突試
  • ポール側面衝突試験
  • オフセット前面衝突試験
  • フルラップ前面衝突試験
  • フルラップ前面衝突時の燃料漏れ試験
  • 歩行者頭部および胸部保護試験
  • 後面衝突試験
  • ヘッドレスト衝撃試験
  • ヘッドレスト静的試験
  • シート慣性荷重試験
  • 積み荷移動防止試験
  • ヘッドフォームインパクト試験
  • とびら解法防止試験
  • 座席ベルト試験
  • ヒップポイント試験
  • 車外騒音試験
  • 近接排気騒音試験
  • 制動装置試験
  • ヘッドランプレベリング試験
  • デフロスターによるデミスト試験
  • デフロスターによるデフロスト試験
  • 速度計試験
  • インストルメントパネルの衝撃吸収試験
  • 排出ガス・燃費試験
  • 原動機車載出力認証試験

これらの試験においてダイハツは、データを改ざんしたり正しい手順で試験をおこなわない、などといった不正行為をおこなっていました。
そして、中でも悪質と判断された不正行為をおこなっていた車、ダイハツ・グランマックスとトヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴの3車種については、型式指定を取り消しました。このことによってこの3車種は生産や販売ができなくなっています。

2.影響を受けているダイハツ車

今回の不正行為によって影響を受けている車種は以下のとおりです。

2-1.影響を受けている車種一覧

<現行車種>
  • ミライース
  • タント
  • タフト
  • ムーヴキャンバス
  • コペン
  • ハイゼットカーゴ
  • アトレー
  • ハイゼットトラック
  • ロッキー
  • トール
  • グランマックス
<現在生産されている原動機>
  • 1KR-FE型(搭載車種:ダイハツ トール / トヨタ ルーミー / スバル ジャスティ)
<生産終了車種>
  • ミラトコット
  • ブーン
  • キャスト
  • ムーヴ
  • ムーヴキャンバス(旧)
  • ハイゼットカーゴ(旧)
  • ムーヴコンテ
  • ハイゼットトラック(旧)
  • アプローズ
<生産を終了した原動機>
  • 1KR-FE型(搭載車種:ダイハツ ブーン / トヨタ パッソ)
  • FE型(搭載車種:ダイハツ ミラ / ダイハツ ムーヴ / ダイハツ オプティ)
  • HD型(搭載車種:ダイハツ アプローズ)

2-2.ダイハツがOEM供給をしている車

<現行車種:トヨタ>
  • ピクシスエポック
  • コペン
  • ピクシスバン
  • ピクシストラック
  • ライズ
  • ルーミー
  • タウンエース
  • プロボックス
<現行車種:マツダ>
  • ボンゴ
  • ファミリアバン
<現行車種:スバル>
  • プレオプラス
  • シフォン
  • サンバーバン
  • サンバートラック
  • レックス
  • ジャスティ
<生産終了車種:トヨタ>
  • パッソ
  • ピクシスジョイ
  • ピクシスバン(旧)
  • ピクシススペース
<生産終了車種:スバル>
  • ステラ
  • サンバーバン(旧)
  • サンバートラック(旧)

ちなみにOEMとは、メーカーが開発した製品を他社ブランドで販売しているもののことをいいます。トヨタで販売しているライズやルーミ、マツダのボンゴ、スバルのサンバーなどは、ダイハツが開発をおこない、各メーカー向けの仕様として出荷しています。そのためこれらの車も今回の不正の影響を受けています。

3.ダイハツ車の車検について

型式認証業務における試験での不正が発覚したダイハツ車は今後、車検にとおるのでしょうか。その点を確認していきましょう。

3-1.基本的には車検はとおる

今回の不正において、国土交通省はとくに悪質なダイハツ・グランマックスとトヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴについては、型式指定を取り消しました。そのためこの3車は新たに型式認証試験を受け直し、合格しなければ生産・販売をおこなうことはできません。
その他の影響を受けている車に関しては、型式指定の取り消しなどといった処分はおこなわれていませんが、順次国土交通省の立ち合いのもと適合確認試験がおこなわれていて、その中で安全性が確認された車種に関しては生産や販売が再開しています。
また、現在使用されている車については、不正発覚後に1,000名を超える技術者が再検査をおこなった結果『直ちに使用を控えるような状況にはない』との判断がなされたため、新たな問題が起きない限り公道走行が可能ですし、車検にもとおる、と判断されています。

3-2.リコールの届出がされている車は対策をしないと車検にとおらないことも

ただし、今後問題の改善を目的としたリコール・改善情報が発表された場合には、ディーラーや整備工場での修繕作業をおこなっていなければ車検にとおらない可能性が生まれます。
リコールというのは市場からの情報を元に、安全性を担保するための改善をおこなう修繕のことです。新車をディーラーで購入した場合には、リコール情報が発表されたらディーラーからユーザーに連絡がきますが、中古車などで購入した場合にはそういう情報が届きにくいこともあり、いざ車検というときになって修繕がおこなわれていないということから、車検にとおらない、というケースも見受けられます。
そのため自分の車にどんなリコール情報が出ているのか心配、というかたは、ダイハツのウェブサイト内にある『リコール・改善対策情報』を確認してみてください。
2024年2月20日現在では、2024年1月24日にキャスト(平成27年8月31日から令和5年6月9日製造分)を対象とした、側面衝突時のドアロック作動不良に関するリコールの届出がされています。

4.ユーザーへの補償はどうなっているのか

補償イメージ

ダイハツは、すでに販売している車に関しては第三者認証機関が確認をし、法規で定められた性能要件を満たしているため安心して乗っていただける、としています。そのため現在ダイハツ車に乗っているユーザーへの補償はおこなう予定はありません。
端的にいってしまうと今回の試験での不正は、たとえば左右おこなわなければならなかったドアの試験を片側しかおこなわなかった、などといった『手抜き』が主なものとなっています。そのため、問題発覚後の第三者認証機関での試験でも安全性が確認されたのです。
中古車に関しては、すでにダイハツの所有権を離れているため『乗り続けるかどうかは購入者の判断にゆだねる』としています。こちらの補償に関しても現在のところおこなう予定はないようです。
問題発覚当初は『中古車としての価値が下がってしまうのでそのぶんの補償が必要では』という声もありましたが、実際のところ現在の中古車市場でダイハツ車は、相場が上がっている状況にあります。
これは新車が購入しにくいということから起きている現象で、とくに軽トラックのハイゼット・トラックなどは、かなりの高値となっています。そのため中古車の補償についてもおそらくおこなわれないものと思われます。

5.まとめ

今回はダイハツの不正問題で車検はどうなるのかについて、ご説明しました。
この不正は、試験を早く通すためにおこなった、いわゆる手抜きがおもなものとなっています。
ではなぜダイハツは、そんな手抜きをしたのでしょうか。そこには企業としての体質がありそうです。
これまで大きな問題がなかったから大丈夫とか、片方が大丈夫なんだからもう片方も大丈夫に違いないとか、コンマ以下というほんのちょっとした寸法の違いだから改ざんしちゃえ、などということで、再試験の手間を省き続けてきた。それを許してきた組織としての甘さが、ここにきて一気に発覚したのです。
とはいえ、すでに現在販売されている車は、第三者認証機関がチェックを続けていて、安全性が確認されたものから順次生産や販売がはじまっています。すでに販売されたクルマに関しても、これまでのデータを再検討し、一定以上の安全性が確認されていますので、車検は問題なくとおります。
国産車の場合には、販売台数が多いこともあって現状中古ヘッドライトの価格は大きくは動いていませんが、今後どうなってくるのかはわかりません。販売台数が多いということは、それだけ車検を受ける車も多いということですので、あまりに多くの車が検査に通らないということになると、ユーザーだけではなく整備業者やディーラーからの、国土交通省に対する苦情も増えるはずです。可能性にすぎませんが、そうなったときには、検査基準の緩和、ということがあるのかもしれません。
ただ、その確認作業の中で問題が発覚したときには、リコールの届出がされます。そうなったときには対策品との交換などといった修繕をおこなわないと車検にとおらないということもありますので、リコール情報には十分注意し、愛車がリコールの対象となったときには早めの作業予約をしておきましょう。

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この記事の執筆者
自動車専門ライター 高田 林太郎
自動車雑誌の編集者として出版社に勤務したのちフリーランスライターとして独立。国産・輸入車の紹介からカスタマイズ、自動車周辺企業への取材など、自動車業界の現場にてさまざまに活動中。